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岡崎エリアで活躍する人へのインタビュー

岡崎エリアで活躍されている方に、岡崎の魅力と、岡崎エリアで展開されている活動・イベントについて語っていただきました。

塚原 悠也さん(右)
川崎 陽子さん(中)
ジュリエット・礼子・ナップさん(左)
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 共同ディレクター

岡崎の人々・街とともに成長していける、“観客主体”のフェスティバルに。

『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 SPRING』を開催

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 SPRING

川崎さん●
『KYOTO EXPERIMENT』は、国内外の「EXPERIMENT(エクスペリメント)=実験」的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会を“新しい形の対話”でつなぐことを目指す、京都発の国際舞台芸術祭です。2010年よりプログラムディレクターを務めてきた橋本裕介さんからバトンを受け継ぎ、現在、私たち3名が共同ディレクターとして携わっています。私は2011年から、制作として『KYOTO EXPERIMENT』に参加してきました。

塚原さん●
私はパフォーマンス集団『contact Gonzo』に所属しています。そのメンバーとして、つまり出演者として、何度も関わってきました。

ナップさん●
2017年の『KYOTO EXPERIMENT』から、広報やプログラムディレクターのアシスタントを担当してきました。2020年度の開催に向けて、共同ディレクターチームとして始動したのは2019年4月のことです。

川崎さん●
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により秋の開催は見送りましたが、『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 SPRING』として、2021年2月6日~3月28日まで開催することとなりました。新体制によるフェスティバルとしての大きな特徴は、大きく3つの柱を設けている点にあります。

塚原さん●
1つはこれまでも行っていた、国内外の新進気鋭のアーティストによる作品をはじめ、実験的な舞台芸術作品を上演するプログラム『Shows』です。もう1つはアーティストが中心となり、年間を通じて関西の地域文化をリサーチするプログラム『Kansai Studies』。自分たちがどのような土地に根ざして活動しているのかを学ぶことを目的とした試みです。ゆくゆくは未来のクリエーターのアイデアソースになるような“オンライン図書館”にしたいと考えており、特設ウェブサイトにて、アーティストによるレポートやミーティングの動画を公開・蓄積していきます。

ナップさん●
そして3つ目が『Super Knowledge for the Future(SKF)』です。これは『Shows』のテーマや社会問題についてのトークやワークショップを展開する、対話の場となるプログラム。これら3つのプログラムを組み合わせることで、フェスティバルに来てくださる方の体験、つまり一人ひとりの楽しみ方が、どんどん多様になっていくと考えています。

Kansai Studies

舞台芸術を触れたことがない人にも、気軽に足を運んでほしい

川崎さん●
3つの柱は、共同ディレクターに就任した当初から話し合ってきた、「どのような人に観てもらえるフェスティバルにするのか」というテーマに対する、一つの方向性を具現化したものです。『Shows』で上演する、いわゆる“とんがった”アートは、これまで舞台芸術に触れる機会がなかった方、「アートは敷居が高い」と感じている方にとっては、取っつきにくいかもしれません。でも例えば『Kansai Studies』では今、“水”をテーマに琵琶湖周辺などのリサーチを進めています。特設サイトにある、誰にとっても身近な“水”に関するレポートが、執筆者であるアーティストの作品や、『Shows』の作品に目を向けるきっかけになればいいな、という思いがあります。

ナップさん●
『Shows』は、作品という完成したものを提供するプログラムですが、『Kansai Studies』や『SKF』は、アーティストを含む誰にとっても身近な情報、かつ、アーティストにとっては作品の源泉ともなり得る情報をシェアするプログラム。“とんがった”作品の背景や制作プロセスに触れるようなイメージです。例えば“水”に興味のある方なら、自分と作品との間に“水”という接点、スロープのようなものができて、距離感は近くなるような気がします。

塚原さん●
また作品の中で、例えば演出として変な音が使われたなら、「変な音だな」って感じるだけで十分。「自分の解釈が間違っていたら恥ずかしい」といった心配は不要ですし、「この音は何を表しているのだろう」と正解を探す必要もありません。その表現に至った過程や理論、歴史はあるのですが、観客一人ひとりがそれを「理解」しているか否かということを、アーティストはそこまで重視していない場合も多いです。むしろアーティストにとっては、躊躇なく「変な音!」と口にするであろう子どもたちをはじめ、感じたことをそのまま言葉にしてくれる存在にこそ、多くの刺激を得られると言っても過言でないと思います。

川崎さん●
映画館に行くのと同じような気軽さで足を運んでほしいですね。

塚原さん●
そうそう。私たち自身、舞台芸術に関する下地が全くない方の意見を聞いて、はっとさせられることが毎日のようにあります。「そういうふうに見えてるんだな」と気づくことは、私たちの作品に対する理解が拡張されていくということ。勇気づけられますね。

ナップさん●
そこで今回は、フェスティバルと観客とのコミュニケーションのためのスポット『ミーティングポイント』も、例年とは異なる形で設置しています。1つはロームシアター京都の『フェスティバルリビング』。映像を観たり、フェスティバルをより楽しむための記事・コラムなどをまとめた『フェスティバルマガジン』を入手したりでき、ひと休みするスペースもあります。もう一つは、京都芸術センターの『フェスティバルボックス』。ここではスタッフがおすすめのプログラムを紹介しています。「鑑賞するプログラムを吟味して選びたい」という方から「何を観たらいいのかわからない」という方まで、広く活用いただけたらと思います。

塚原さん●
私たちはいわば、アーティストや作品と、多くの人々との間にあると思われる“敷居のような何か”を、あの手この手で柔らかく解体していこうとしているチームです。観客が主体であるほうが面白い。それは例えば、「これは何だ?」って感じるような新しい表現が生まれた時に、観客としてその表現を体感した人たちが皆で考え話し合う、というようなことです。そういうプロセスをたどるほうが、健全かつ文化的な発展につながるのかなと感じますし、『KYOTO EXPERIMENT』を、そういう発展の起点にできればと考えています。

もっと、多様性と自由な気風に満ちたエリアへ

ナップさん●
岡崎エリアの中で気に入ってるのは、白川沿い。温泉街を思わせる雰囲気がいいですよね(笑)

川崎さん●
そうそう(笑)。夷川発電所も、街中とは思えないヨーロピアンな空間で、興味深いとともにすごく居心地がいいです。

塚原さん●
京都市動物園もおすすめ。子どもと一緒に訪れて、そのフレッシュな展示方法に驚きました。ライオンとかゴリラの活動的な姿を観ることができます。

川崎さん●
美術館などが集積し文化発信の拠点と言えるようなエリアでありながら、動物園などもあって、文化に興味がある人だけが集う街というわけではないところが魅力。今朝も、ロームシアター京都と岡崎公園をつなぐ広場、ローム・スクエアには、散歩で立ち寄った近隣の園児たちの声が響いていました。また週末のローム・スクエアは、ボール遊びをする子どもたちなど、より多様な人々で賑わいます。この環境を活かして、フェスティバルが広く認知されるようなプログラムの形を考えていく予定です。

ナップさん●
その一環として今後は、観客がいろんな形で参加できるようにしたいです。観客とフェスティバルとの間に双方向のつながりが生まれたらうれしいです。

塚原さん●
目標はそのような関係性のもと、フェスティバルが、人々のイマジネーションを広げるきっかけとなるような存在となること。今以上に自由な気風に満ちた街へと進化する一端を担いたいですね。

川崎さん●
じっくりと時間をかけて、岡崎の人々とともに成長していけるような、新しいフェスティバルのあり方を模索し、その確立を目指したいと思っています。

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